写真を撮った話④
ようやく撮影当日。
フカダイ氏がお世話になっている美容室でヘアアレンジとメイクをしてもらいました。
(もうちょっとナチュラルにしたかったんだけど、うまく伝えられなかった…意思疎通むずかし)
フカダイ氏も髪型キメキメです。
お世話になった写真館は、とてもアットホームな雰囲気で我々を迎えてくれました。
奥さんと娘さんが世話役をして下さり、撮影は息子さん……が体調不良とのことで、数ヶ月前に引退なさったというおじいちゃんカメラマンさんがこの日限りの復帰撮影!
まずは私がドレスに着替えます。
お直しの為に家で何度も袖を通しているのでもう着慣れてしまって、正直これといった感慨はなかったのですが、奥さんと娘さんからあら素敵、まあ綺麗と褒めて頂いて満更でもない気分。
一方のフカダイ氏が着るモーニングは、彼の亡くなったお祖父様のもの。
国立国会図書館に勤めていらしたお祖父様、叙勲をうけることになり、正式なモーニングを仕立てられたとのこと。
この、通称「天皇陛下に会える服」
着てみると、まるで誂えたようにフカダイ氏にサイズピッタリ。
さ、そろそろフカダイさんも着替えましょう。
モーニングを取り出す。
着替える。
あれ。
ズボンが。
ない。
ええーーーーーーっ!!!
まさかの、ズボンだけ家に忘れてくるという。
アイロンをかけた時にハンガーを上下別々にしていたのに気付かなかったらしい。
うちにあるので良かったら貸すよ、と奥さんにご提案頂いたものの、フカダイ氏が履こうとしていたのはただのズボンじゃないんです。
天皇陛下に会えるズボンなんです。
仕方ない、取りに帰るしか。
フカダイ氏、電車で来た道を戻り、自転車を飛ばして写真館へ帰ってくるまで約45分。
ドレスを着たままの私は、さながらメロスを待つセリヌンティウスのような心持ちでありました。
おじいちゃんカメラマンさんの「まだ撮らないの?」という問いかけに、「もうちょっとお待ち下さいね」と答えること数回
息も絶え絶えになりながら戻ってきたメロス…もといフカダイ氏。
かくして
汗だくの新郎とツギハギの新婦が出来上がったのでした。
続く