春にして君を想う
祖父母には何人兄弟がいたのか とか
あったことがある遠い親戚のあの人は
どういう繋がりの人なのか とか
そんなことが知りたくて
伯母監修の元、家計図を書いてみた。
*
という妖怪をご存知ですか
妖怪というものは
誰かがその存在を意識してはじめて
存在できる"概念"なのだそうで
豆腐小僧という名を
誰も知らなければ
豆腐小僧という"概念"は
消えてなくなるわけです。
*
千と千尋の神隠しでは
千尋の名前が奪われる
はてしない物語では
バスチアンが幼ごころの君に名前をつける
そして名前を失う
*
名前が存在する間 それは生き続ける
名前が概念を生みだす
*
たかだか三代前までの家計図
その大部分は見知らぬ名前でした。
*
私は
人の名の儚さを思う
歴史に名を残す
という欲を持ったことはないけれど
たとえば
遠く離れたときに
名前を
私と言う概念を
覚えていてくれたら
それはとても尊いことです
そして
忘れられることもまた
*
君の名は
Beautiful name
名前をつけてやる
そういえば
名前は一番身近な呪いだ
ってフレーズ
何で読んだんだっけ
*
こんなの見る?
と、伯母が写真を見せてくれました。
母や、伯母や、祖父母や、曽祖父母の写真。
裏返すと名前が書いてあって
なんだか
ああ、この人は、
時に笑い、時に泣いたりしながら
確かにここに存在していたんだなあ
みたいな想いが
立体的な現実味を帯びて
押し寄せてきたのです。
*
祖父母の結婚写真と
母の写真を何枚かもらってきました。